ルイの9番目の人生 ◎
4月9日 19時50分〜 シネマクレール
凄く好みの映画でした。
とっても良かったです。
ネタバレ無しで見た方が良い映画だと思いますが、サスペンス的な意味では犯人は割とすぐに予想がつくと思います。
主人公の男の子が鬼太郎ヘアのイケメンでした。
この子が小憎たらしいけど可愛いんですよ。
子供って、別に愛想良くなくても無表情でも、憎まれ口叩いても可愛いもんなんですが、この子はそれを体現していて、ルックスが可愛いと言う事がストーリーに説得力を与えていた。
ママも完璧なブロンド美人でした。
以下はネタバレあり感想。
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いいっすか?
これは、母と子の物語なのかと思ったら、最初からずっと父と子の物語だったんですね。
父親の愛情が揺るぎなく、死んでもまだ続いていて、それを息子がちゃんと理解できているというのが、非常に救いになる話でした。
父親との最後の回想シーンで、泣いた!
母親が本当に美しくて、お人形のように綺麗で、そのルックスだけで説得力がある。
あまりにも不吉過ぎる美しさで、その結果、犯人の予想はかなり早い段階で検討がつくんだけど、結果がどうなるかが分からないので、そこそこハラハラしながら見守ることになりました。
そして、父親の存在には最終的には小さな驚きがあって、カタルシスもあり、最後の締め方が良かったので、見終わった後の気分はさわやかでした。
若く美しいシングルマザーが周囲に同情されたくて子供を傷つけ、毒を盛り続け、子供は昏睡状態になり、母親は美貌と同情で既婚者の男を誘惑する…とあらすじを考えると胸糞悪い展開ナンバーワンなんですけど、血が繋がらない父親からの深い愛と、少年の聡明さが救いになっているし、話の構成の妙で不快感に塗り潰されることなく観れました。
こういう母親や、こういうタイプの女性は確かに存在しているんですけど、一体、なんでこうなってしまうのか不思議ではあったんですが、作中のコウモリの例え話で、物凄くしっくりきました。
泣いてばかりで、泣くのが好きなコウモリは、笑うことより幸せより、泣くのが好きなんですね。
好き嫌いはどうしようもない!
それでも、父親になれたから良かったと言ってくれる人がいて、その気持ちが届いてるのは良かった。
ハムスターを殺してたり、精神科医に「あなたがパパなら良かった」なんて思ってもないことを言ってみたり、母親の影響も色濃く感じられるけど、父親に対する真っ直ぐな愛情があるから大丈夫じゃないかなと思いました。
父親が亡くなってしまったのが、本当に残念。
9番目の人生は、きっと幸せで安全で楽しい人生になるという予感のするラストで良かったです。
途中のファンタスティックな展開は、子供の妄想だと思ってたものが現実に侵食して来ているけど、物語全体を覆うほどの規模でもないので、無くても話を成り立たせられるとは思いますが、それがあると、化物の父が語りかけてくるシーンが、主人公の妄想ではなく、本当に父親からの最後のメッセージが届いているようにも思えるので、私はあった方が、より嬉しかったです。
それが無くても、記憶の中の父の言葉を反芻しているという意味で、主人公の妄想というわけでもないんですけど、曖昧にファンタスティックな部分が残ってる方が、昏睡状態から目覚めるとかいう非現実的な流れも、すんなり受け入れられるので、ファンタジーとリアルのバランスは丁度良かったと思いました。