だるだるなまず日記

バツイチ独身女の日常覚書、映画ドラマ雑感(凄く良い◎良い○微妙△金返せ×)割とネタバレしてますが、あらすじ説明はしてません。観た人向け。

お化け屋敷の話

うっかり一人で、お化け屋敷に入っちゃって、怖くて足が竦んで一歩も動けなくなったから、お化けに出口まで連れて行ってもらうことになった話。
お化け屋敷の何が怖いかわからないって人に読んでもらいたい。

 

 


まず、何故に一人でお化け屋敷に入るというお一人様として難易度の高い状況に陥ったのかと言うと……誰も一緒に入ってくれなかったからです。

大学の卒業旅行で九州に行った時に、デパートの催事で「不思議の国のアリス」をモチーフにしたホラーハウスをやってたんですよ。
観光に疲れて休憩しようとしている所だったんですけど、私はそれにどーしても入りたかったのでした。
不思議の国のアリス」が好きなんですよ!
グッズ収集をするオタクなんです。
アリスをモチーフにしている、あらゆるジャンルの創作物に興味があるんですよー!(映像DVDは6本持っているし、本も収集しているし、オマージュした小説や漫画も集めています)
そんなわけで、絶対に入りたかったんですが、疲れているからか、お化け屋敷が怖かったのか、普通に興味がなかったのか、同行している三人の友人が誰も一緒に入ってくれなかったのです。
記憶が曖昧ですが、多分、休んでるから行っておいでと言われたんだと思います。
それにしても、普通は一人ならあきらめるところだと思うのですが、何故に一人で入ってしまったのか……どーしても中が見なかったからでしょうけども、なかなかにチャレンジャーですよね。

お化け屋敷自体は小学生の頃に化け猫の館って感じのヤツに親と一緒に入って(猫が見たかったんだと思われる。変わっていない)恐怖でまともに目を開けていられなかった経験から、ずっと入ることを避けていたので、久しぶりの挑戦でした。
そもそもホラー映画とかそこそこ苦手だし、ゾンビ映画とか怖くて大嫌いというタイプです。(小説や漫画は大丈夫。恐らく色が着くと怖いんだと思われます。特に赤い流血が苦手)
でもまあ、作り物だってわかってるし、もう大人なんだから、そんなに怖くないだろうとタカをくくっていました。

しかし、お化け屋敷に足を踏み入れて、最初のお化けに脅された瞬間

ぎゃああああ!!

恐怖に震え上がり、突き当りの赤いカーテンを覗いて

ぎゃああああ!!

鏡に映る自分の姿にまで悲鳴を上げてから、すっかり心が折れてしまい、一歩も動けなくなりました。
カーテンの向こうは全面張りの鏡がある試着室のような真っ赤な小部屋になっていて、私はそっと中に入ると冷たい鏡に額を押し付け、鏡に映る自分に向かって「どうする?ずっと、ここにいる?ダメかな?」とぶつぶつ一人で呟いていました。
心を落ち着かせようとしてたんですけど、どうしてもカーテンから出て行く勇気が出ません。
恐怖に立ち向かって行く勇気が自分にないということを忘れないようにしようと思います。
外にいるお化けは絶対本物じゃないし、襲われても死なないとわかっているのに出て行けなかったです。
そのまま、朽ち果てるまで立ち尽くしていることは当然許されず、カーテンが開かれて、さっき脅かして来たお化けが顔を覗かせました。

ぎゃああああ!!

当然のように悲鳴を上げる私。

「お一人ですか?」

悲鳴が収まった後、一拍置いてから冷静な声で問いかけてくるお化け(ゾンビタイプのマスクを被ったお化け役の人)
声を聞いて、相手が働いている普通の人だとわかって(いや、それはわかってたんだけども)、少し冷静になる私。

「一人です」
「一人か…困ったな…じゃあ、ついて来てください」

そう言われて、救われた気持ちで、お化けについてカーテンをくぐって小部屋を出ました。
ところで、お化け屋敷というのは、途中で気分が悪くなったりした人のために、ルートを外れて途中抜けできる出口があるって聞くじゃないですか?
てっきり、そういう裏口に案内してくれるんだと思ったんですよ。
でもお化けはどんどん経路を歩いて行きます。
仕掛け通り上から落ちてくる生首!

ぎゃああああ!!!

「どうしたの?」
普通の声で聞いてくる生首に「一人なんだって」と答える案内お化け。
さらに続く経路。
一応、ちゃんと不思議の国のアリスっぽい絵が描かれてるけど、お化けはゾンビ系。
ゾンビが出る度に、毎回、律儀に悲鳴を上げる私。
毎回くり返される説明。

むしろ、「ここ段差がありますから、気を付けて(振り返る案内お化け)」「ぎゃああああ!!!」というやりとりまで、何度もあり……私は一体、何が怖いのかわからない状態に……。
相手がお化け役の親切な人ということは、重々わかっているのに、振り返られると恐怖に悲鳴を上げることを抑えられない。
意味わからないよなあ?!
お化けの人も、なんだこの女?って思ってたと思うよー!
なんでお化け屋敷に一人で入ったんだよ、この女って感じだしね!!

そして疲労困憊になった頃に最後の部屋にやって来ました。

その部屋はハートの女王のお城のようなイラストが壁に描かれていて、中央にアリスの姿の美人が座っていました。

アリス「どうしたの?」
お化け「一人らしいから、連れて行ってる」
アリス「そうなんですか、頑張ってくださいね」
(私に向かって、にこっと笑ってエプロンをめくると、ゾンビが飛び出してくる)
私「(アリスが応援してくれている!)ありがとう…ぎゃあああああああああ!!!」

そして部屋を出ると出口でした。
最後にアリスに会えたので、一応満足できました。
お化けにお詫びとお礼を言って、お化け屋敷を後にしました。
結論から言うと、裏口のようなものは無かったようです。

お化け屋敷の何が怖いのか、わからない人もいると思います。
完全に作り物だし、そんなに精巧にできているわけでもないし、中に人間が入っているのはわかってます。
わかってました。
親切な人だということすらわかっています。

それなのに、恐怖に上がる悲鳴を抑えられなかった!!!
声を我慢できないほどの恐怖を感じた!!!
いや、私だって悲鳴なんか上げたくないんです。
だって、恥ずかしいじゃないですかー!
会話までして人間だってわかっているのに怯えてるとか、アホ過ぎるじゃないですかー??
案内してくれてるお化けには、いい加減慣れろよって感じじゃないですか???
でも、とっさに声を張り上げることを抑えられなかった!!!

何が怖いのか……私にも謎です。

私はディズニー版じゃない原作の「美女と野獣」が好きなんですが、あの話の美女は本当に心優しくて聡明な女性で、野獣の中身が親切で知的で紳士的な素晴らしい人だと理解できているのに、姿があまりにも恐ろしくて恐怖を抑えられなくて、自己嫌悪するんですけど……気持ちわかるぅ~。
造形に対する恐怖って、時に抑えられないよね。
生理的嫌悪感というか、本能的恐怖というか……。