だるだるなまず日記

バツイチ独身女の日常覚書、映画ドラマ雑感(凄く良い◎良い○微妙△金返せ×)割とネタバレしてますが、あらすじ説明はしてません。観た人向け。

宗教の話

私自身は日本人らしい多神教に属してます。
八百万の神がいるってヤツ。
お米の一粒一粒にも神がいて、山林に入れば神秘的な光に神を感じ、ご神木に何かしたら多分祟りはあるし、困った時は適当な神様に神頼みをするし、悪いことをしたら何かしらの神様が見ている。
神社に行って、寺にも行くし、教会も機会があったら見るし、お守りも持つし、十字架のアクセサリーも持つし、クリスマスもバレンタインもハロウィンもやるし、ちょっと遠いから日本にまで目が届いてないだろうけど、ケルトの神様やギリシャの神様やインドの神様もいるんだろうし…その全てを、そんなに真剣には信じてない。米粒は普通に残してます。
無神論者と紙一重の多神論者で、でも、祟りは割と信じてるからホラー作品が怖い。
日本人には一番多い宗教だと思ってます。
宗教名はないけど、この日本教のこと全く知らない人、日本人にはいないでしょ。
現代社会の日本に住んでたら、皆知ってる宗教でしょ。


うちの実家はごく一般的な仏教徒です。
ちょっと変わっているところがあるとすると、一時期、私が生まれる前に、ある有名新興宗教に入っていたことがあるらしいです。
もともとは私の母方の祖母が入信して一族を入信させたらしいんですが、その後、何か教義に気に入らないことがあったとか政治的な問題が気に入らなかったとかで脱退して、一族全員を脱退させました。
だから、母方の一族はお経を暗記していて空で読めるんですよね。
一回入って出てるくらいなので、母方の一族はかなりその宗教に関してはアンチ気味です。
現在は一般的な古典的仏教に入ってます。
そんなこんながあったので、うちの親は新興宗教に関しては厳しい目を向けているんですが、私はそういう一連の流れを聞いていたので、宗教というのは自由に入ったり出たりする組合みたいなもんだと思ってました。

そもそも私はあまり新興宗教には向いていないと思います。
勤勉さがないし、集団行動が嫌いだし、飽きっぽいし、説教を聞くのが嫌いだし、宗教団体に入ることに何の楽しみも見出せそうにないから。

そんな私が何度か宗教団体信者に接した経験について記しておきます。

 

 

・二世だった大学時代の文通相手

雑誌「ダヴィンチ」の企画で文通相手を募集するというものがあって掲載されました。
届いた大量の手紙の中で異彩を放っていた、大量枚数のノートの切れ端に鉛筆で書かれていた高校生の男の子からの手紙。
手紙のマナーも全くできていなくて書き慣れていないのは間違いありませんでしたが、素直な気持ちを書き殴った文章はすごく面白くて文才がありました。
冒頭の日本人らしい多神教の話は、彼が教えてくれたものです。
読んだ本の話を書いてくれたものでした。
彼の母親は有名新興宗教に入っていて、彼は二世で、子供の頃から多くの制約を受けて辛い思いをしたというのが話の中心でした。
彼の話から、その宗教に入っている子供は体育の授業をほぼ受けられないこと(競争が許されてないので順位のつく競技に参加できないし、勝ち負けもダメ)や、学級委員になることも許されない(人の上に立つということがダメ)ので、学級委員に指名されても断らないといけないこと等を知りました。
生徒の多数決で決める学級委員だったそうで、そういうの断れる?とか(担任の先生は彼に酷いことを課していました)周囲から学級委員に選ばれるような子がそんな学生生活を送るのは大変だよねとか(屈辱的だったと表現されていたのが忘れられません)、色々、狂ってるな!というのを初めて実感して、宗教というものが薄ら怖くなりました。
彼の手紙から学んだ色んな事柄が、私の新興宗教に対する警戒心や二世で苦しんでいる人達への理解の元になっています。
また、そういう環境に育っても彼の手紙が非常に聡明で誇り高かったということが、彼らに対する偏見をなくしてくれたと思います。


・元信者だった有名ブロガー

有名ブロガー(はてなではない)と会うことになりまして、会う直前に彼が逮捕者も出てるヤバ宗教団体の元信者だったことがネット上で話題になっていたらしくて、向こうから「見たと思うんだけど…」と話題に出されました。見てませんでした。
彼のブログは知的で世の中のことが良く分かっている系のブログで、昔からのネット社会のアングラにも詳しい人で、学歴も高く頭が良い人なのに、そんな人でも、ヤバ宗教に入ってしまうんだなーというのが、まず驚きでした。
せっかくなので教団で何をしていたのか等を聞いて、そんな研究をしてたのか…それはおもろかったでしょうね等と話し、宗教というより教団の金で研究したり会報出したりのサークル活動みたいなのが面白かったのかな?と思ったりしたんですけども、今はもう信じてないんですよね?という質問に対して、信じてないわけでもない感じの解答だったので、こんな賢くて物事が良くわかっている人でも、あんなヤバヤバ宗教の男子中学生が考えたガバガバ設定みたいなアホ教義を信じたりするんだなーーー!!!と衝撃を受けました。
どうやったら、こんな頭が良くて本もたくさん読んでて、世の中の裏側にも精通しているような人に、ちょっとwikiで読んだだけでも浅いアホ設定でしかないことがわかるような教義を信じさせることができるのか、そっちを知りたいくらいです。
そういう意味で、洗脳って恐ろしいんだろうな…と思いました。
内容の良し悪しとか判断できなくなるんだろうな。
それを判断できないことと本人の知性とは別の問題…ということがわかりました。
賢い人だからといって、相手の正気を信用できるわけではない。
でも、良い人だったので、普通に友人としてご飯食べに行ったり、お宅に遊びに行ったりもしていました。
信じている宗教と、本人の人格は別のものとして考えられることを知りました。


・新入社員の研修セミナー

米粒にも神様がいる系の宗教に入っている私にとっては、これは宗教の一つです。
最初に入った会社から送り込まれました。
二つ隣の県まで行かされ、一泊の研修です。
まず最初に扉を閉められ「研修が終わるまで扉は開きません。トイレにも行けません」と言われた瞬間に、これはアレだ!洗脳の手口だ!!と思いました。
それ以降、真面目に研修を受ける気持ちを失いました。
というのも、私は大学時代に劇団に入っていたんですが、その時の脚本に自己啓発セミナーで洗脳される話がありまして…手口が全く同じだったのです!!
話を聞いてる間、ずっとイライラしてました。
泣かせる映画として「アポロ13」と「学校2」を見せられたり、親への感謝の手紙を書かされて読む時のBGMが「母さんが夜なべをして手袋編んでくれた」だった時は、さすがに笑いました。
ずっとツッコミ入れたいのに、一緒に参加している同期の新入社員(会って一ヶ月)が「素晴らしい研修に参加させてもらえて会社に感謝だよね!」と言ってるのを聞いた瞬間、お前とは友達になれないと確信しました。(その子は三日後には「こういうのって気持ちが続くのは翌日くらいまでだよね」とあっけらかんと言っていて、素直な上に聡明なんだなーと感心しました)
そもそも最初から社長が、自分も上位の研修に参加していて、それは厳しいから自殺者が出たこともあると言っていて、そんな研修はダメなのでは?とは思ってました。(さすがに新入社員が社長にはツッコめない)
その社長は他にも新興宗教に金をぶっこんでいたので、そういうのが好きな人だったんだと思います。
洗脳の手口を我が身に浴びたのは初めての経験だったので、勉強になりました。


・鍋が高価な連鎖販売取引企業

入ってる人達の瞳孔が開いてたので、信仰かなと思ってます。
飲み会で知り合った素敵なお姉様にホームパーティーに誘われたので行きました。
尚、これは、この集団の良くある手口らしいので、ご注意ください。
そうじゃなかったとしても、良く知らない人のホームパーティーはヤバヤバのヤバなので、絶対に参加してはいけません。
私がアホでした。
何事もなくて良かったです。
この後、二度と会社の人以外のホームパーティーには参加していません。
皆さんも決して知らない人のパーティーには参加しないでください。
殺されるかも知れないからね!!!
ホームパーティーのホームはそこそこ高級な広いマンションで行われました。
家主はそんなに金を稼いでるという感じがしない男。不労所得で暮らしてると言います。貸しビル業とかかな?と思って詳しく聞きませんでした。
「体に良い美味しいものを食べる集まりなんだよね」と私を招待してくれたお姉様の手料理(めんつゆ※を使った簡単な冷ややっこ、オリーブオイル※を使った手作りのドレッシングのサラダ等。この二つのメニューは今も私の定番メニューとなっています。おいしー)が並べられ色んな職種の男女が集まっていました。パリピっぽいイケメン美容師とか、アパレルとか、事務職とか本当に様々です。イケメン美容師の彼女と彼女の友人は私のようにゲストみたいでした。
キッチンには立派な鍋※。卵を洗う洗剤※。
この集団が何の集まりなのかは不明ですが、皆でたまに旅行をしたりもしているらしいです。
家主の男はこの前海外旅行に無料で招待されたそうです。
なんか、チーム?の成績?が良くてご褒美みたいな。
カタログを見せられて、※のものが全部載っているみたいでした。
やっぱりセレブは日用品も良いもの使ってるんだなって思いました。
その日は色々謎を残しつつ食事会を終えました。
イケメン美容師の彼女の友人が広島出身でパフュームの一人と知り合いだって話が個人的には一番面白く印象に残りました。
後日、もつ鍋家に呼び出されました。
「いい生活をしたいよね」とか「六本木ヒルズの最上階の部屋でパーティーとかしたくない?」とかいう話をされた後に「あなたはどんな人生を送りたいと思ってる?」と聞かれました。
皆、身を乗り出して私の話を聞いてくれます。
何故か、皆の意識が私一人に集中しているのを感じました。
凄く真面目に聞いてくれようとしている気配です。
これは何か良い感じに盛り上がる話をしなくてはいけないよね。
「私の仕事は技術者なので資格試験を受けて、もっと良い技師になっていかないといけないと思ってます」
サーッと皆の意識が遠のくのを感じました。
こんなにアカラサマにわかる?!と驚くくらい、皆の気持ちが一気に離れていく気配を感じました。
固い話過ぎたか!と私は焦って続けました。
「あと、結婚もしたいですしね」
これはどんな人間でも必ず盛り上がる話題の筈です。
恋人いるの?とか、どんな人がタイプなの?とか絶対に老若男女きゃー!ってなる鉄板の話題なんですよ。
それなのに、ますます皆が遠ざかるのを感じました。
物理的にも身を乗り出して聞いてくれたのに、離れました。
そして話は盛り上がらずにお開きになりました。
私は人と話すことが得意な方なので、話をしていて、あんなに人の心が目の前で離れていくのを感じたのは初めてのことだったので、とても印象に残っています。目の前にいるのに、遠い。
それと、もう一つ印象に残ったのは、その日は、私を誘ってくれたお姉様の誕生日だったと聞いていたので、私は誕生日プレゼントに印伝の小銭入れを持参していました。3000円くらいの大して高価いものではありません。
お返しは別になくても良いし、素敵な手料理をご馳走になって新しいレシピを教えてもらえて助かったし、せっかく誕生日に会えたんだからと気楽な気持ちで渡したんです。
私も、そういうプレゼントを誕生日に会った人にもらったことが何度もあったし、誕生日だから今日はご馳走するね。とか、お土産をもらったりとか、お返しの必要がないちょっとした贈り物というのは別に良くあることと思っていました。
でも、それを受け取ったお姉様は、物凄く驚いた顔をしていて、こんなものをもらっちゃっていいの?と信じられないものを見るように大きく目を見開いて、そこまで?とこっちが驚くほど喜んでくれました。
ホームパーティーとかするようなパリピは、贈り物しあったりしてると思ったのに?誕生日プレゼントなんて、みんなからもらうよね。友達多そうだし…と、とても不思議に思ったのを覚えています。
後日、別の友達に、こういう不思議な集まりがあったという話をしたら、それは、連鎖販売取引企業だよ!と教えてくれました。共通の友達が鍋を買わされたことがあったそうです。
それを聞いて私の中のふんわりしていた謎が全てぱーっと晴れていき、シナプスが繋がって謎は全て解けた!みたいな気持ち良い瞬間がありました。
モツ鍋屋での正解は「金持ちになりたい」とかそういうヤツだったんだと思います。
地に足をついたことを言っちゃダメ。


この辺りが、私が接触したことがある宗教です。
これを読んだ方が同じ状況になった時に、どっかで読んだヤツ!と思い出して正気に返ってくれたら幸いです。